シュリーマンの野望

こんにちは、代ゼミサテライン予備校北千住校です。

10月11日は1871年の今日、ドイツ人のハインリヒ・シュリーマンが現トルコのアナトリア半島で「トロイの木馬」で有名な古代都市トロイアの発掘に着手した日となります。シュリーマンは幼少期に聞かされたギリシアの詩人ホメロスの「イリアス」に出てくるトロイア戦争の描写に感動したことがトロイア発掘を志したきっかけと述べています。そして、1973年に「プリアモスの財宝」を発見し、伝説のトロイアを発見したと喧伝しました。当時この発見と後に発刊された『古代への情熱 (シュリーマン自伝)』により、大考古学ブームが巻き起こります。

ただし、実際のシュリーマン本人は学者ではなく、学者肌と言うよりは、発見で自分の名を売りたい自己顕示欲・名誉欲の強い野心家であったと評価されています。例えば15ヶ国語を完全にマスターしたと自伝に書いていますが、実際にはその可能性は低いとされていたり、発掘につぎ込んだ費用が死の商人としてロシアに武器を密輸し儲けた金だったり、発掘の際の手法が破壊的でずさんであったり、発見した財宝を発掘を認可したオスマン帝国に引き渡さずに、勝手に国外に持ち出し名誉市民の称号と引き換えにドイツに引き渡してしまったり、といろいろやらかしておりました。

しかし、それでもシュリーマンは更にミケーネ、ティリンス、オルコメノス等の遺跡を発掘し、ギリシア先史文明の研究にとって多大なる成果を上げていきます。これをきっかけとして、ポリスが成立する前のクレタ文明・ミケーネ文明に大別されるギリシアの青銅器先史文明「エーゲ文明」の謎が解き明かされていくのです。それ故に、現在の価値観でそのままシュリーマンの業績を測るのは難しいかもしれません。

世界史的ワードチェック

・エーゲ文明:
紀元前2000年ごろから始まるヨーロッパ発の青銅器文明。クレタ文明とミケーネ文明に大別される。

・クレタ文明:
クレタ島のクノッソスを中心に発展、宮殿に城壁を持たない明るい海洋文化。イギリス人エヴァンズにより発掘される(民族不明)。

・ミケーネ文明:
クレタ文明・オリエントの影響を受け、B.C.1600頃から発展、巨大な王権の元、軍事中心の文化。
トロイアはミケーネ文明に属する。