風と戦争と共に平和去りぬ

こんにちは、代ゼミサテライン予備校北千住校です。

本日11月8日は1900年に「風と共に去りぬ」の作者マーガレット・ミッチェルが誕生した日となります。また、昨日11月7日は世界文学史上絶対に欠かせない作家トルストイが1910年に83歳で亡くなった日となります。そこで、19世紀から20世紀にかけての文学の流れを簡単に見てみましょう。

トルストイが主に活躍した19世紀はフランス革命のもたらした社会の激変が文化の領域にもさらに大きな転換をもたらせた時期となります。すなわち、文化の中心が貴族・王族から市民へ、支配者から新しい支配者へと取って代わることとなったのです。

市民文化によって、既存の貴族文化の成果は引き継がれ、美術・文学・音楽の分野それぞれの言語文化・歴史文化を重視する「国民文化」にまで昇華され、この国民としての自覚が文化活動、政治活動の原動機付自honnjitu 転車力となって、国民国家への統合を促していったのです。

さて、この文化活動のうち「文学」ジャンルに目をやると、市民文化の潮流は19世紀当初は国民文化の流れを受け、各民族の地域固有の文化や歴史のベースにした個人の感情・想像力を重視する「ロマン主義」が流行し代表作としてユゴーの「レ・ミゼラブル」が挙げられます。なお、日本では森鴎外の「舞姫」が「ロマン主義」小説の代表となっています。

そして、19世紀中~後半に猛烈に近代科学・技術が発展し、市民社会が成熟してくると「赤と黒」のスタンダール等に文学的影響を与え、人間や社会の現実をありのままに描く「写実主義」が唱えられました。この代表的作家こそがトルストイとなるのです。

トルストイは無名の頃クリミア戦争の従軍中に、小説「セヴァストポリ」の3章中2章を書き上げ文芸誌で発表しましたが、これを読んだロシア皇帝ニコライ1世は「この作者を前線から後方に直ちに下げろ」と命じたと言います。このエピソードでは貴族好みのロマン主義でなく、英雄が出てこないひたすらに現実を見つめる写実主義的なトルストイの文を読んで、亡くしてはならない人物だと見抜いた皇帝の文化的知能レベルに凄みを感じます。

そしてクリミア戦争を生き抜いたトルストイは次々と世界的な傑作を発表していき、2007年刊行の「作家が選ぶ愛読書トップテン」においては、現代英米作家125人の投票により、世界文学史上ベストテンの第1位を『アンナ・カレーニナ』が、第3位を『戦争と平和』が獲得しました。

その後、19世紀末には写実主義を継承した上で科学的に社会や人間の抱える問題を分析し、表現しようという「自然主義」がドレフュス事件で名を知られたフランスのゾラ等の活動で潮流となりました。そして20世紀に入り、文学はマーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」に代表される、娯楽性に重きを置く何でもありの大衆小説の時代へと入っていくのです。

世界史 Word Check!

・ロマン主義:
ウィーン体制まで主流だった形式美の古典主義に反発し、人間の個性や感情を重んじ、普遍的でない個別的な歴史や民族文化の伝統を尊重する文化潮流。

・写実主義:
現実をありのままに書くことを主張した文化潮流。ロマン主義に対する反動として生まれた。

・自然主義:写実主義を継承するとともに、科学的に社会や人間の抱える問題を分析し、表現しようとした。ヨーロッパで大きな潮流となった。