こんにちは、代ゼミサテライン予備校北千住校です。
今日は11月16日、1632年スウェーデンの英雄王グスタフ・アドルフが三十年戦争のリュッツェンの戦いにおいて戦死した日となります。これがスウェーデン王国の最盛期となりますが、もともとスウェーデンはノルマン人がスカンディナヴィア東部に10世紀頃、建国した国でした。当時のノルマン人の活動のヨーロッパ社会への爆発的な影響力について見ていきましょう。
ノルマン人は北欧のスカンディナビア半島からユトランド半島にかけて住んでいたゲルマン人の一派であり、8世紀後半からヴァイキングとして略奪・征服活動を広く行うようになりました。この「ヴァイキング」という言葉は「バイキング」として、今も「海賊」などの意味に転じて多く使われています。
10世紀にはロロが率いる一派が北フランスに上陸し、西フランク王国(フランス)から認められ、ノルマンディー公国を立てます。更に進んだ一派はイタリア半島南部に到達し、両シチリア王国を建国しました。
その頃のイングランドはゲルマン系のアングロサクソン人の王国により統一されていましたが、1016年デーン人のクヌートにより征服されました。その後一時アングロサクソン王朝が復活するものの、ノルマンディー公ウィリアムがイングランド王ハロルド2世を1066年の「ヘイスティングの戦い」で撃破し、イングランドにノルマン朝を立てウィリアム1世となります。
イングランドがノルマンディー公ウィリアムの征服を受けることになった、この事件をノルマンコンクェストと言います。フランス王の封建臣下にあたるあるノルマンディー公が同時にイングランド王を兼ね、フランス王より強大になったことによる両者の争いは、後に百年戦争を引き起こすことに繋がっていきます。
このように9~12世紀頃のヨーロッパはノルマン人の活動で混乱を極め、度重なる略奪を受けた西ヨーロッパの商業・都市は衰え、社会は農業経済に頼るようになりました。また、外部勢力から身を守るため弱者は身近な強者に庇護を求めるようになり、ここから西ヨーロッパの中世特有のしくみである「封建的主従関係」「荘園」が生まれ、この仕組みの上になりたつ社会を「封建社会」と言います。
なお、ノルマンコンクェストを背景にした傑作歴史ロマンに「ヴィンランド・サガ」(幸村誠)という作品があります。みなさん志望校に合格したら是非読んでみて下さい!
世界史 Word Check!
・ノルマン人:
スカンディナビア半島・ユトランド半島を原住地とするゲルマン人。造船・航海技術に優れていた。
・ヴァイキング:
海賊行為を働いた北方ゲルマン人の総称、しばしば「ノルマン人」と同義で用いられる。
・ノルマンディー公国:
ロロによって北フランスに建てられた国。
・ノルマンコンクェスト:
ノルマンディー公ウィリアムによるイングランド征服のこと。強力な王権体制が成立した。