こんにちは、代ゼミサテライン予備校北千住校です。
今日は11月28日、左翼の中の左翼、カール・マルクスの良き相棒フリードリヒ・エンゲルスが1820年に誕生した日に当たります。このコンビが世界史に及ぼした影響の大きさはマルティン・ルターやイェス・キリスト、ムハンマド以来の大ショックと言ってもよいでしょう。
エンゲルスは富裕層である紡績工場主の息子としてドイツ西部のバルメンで生まれました。マルクスもドイツ生まれであり、2人はケルンで出会った後意気投合し、多くの共著を出すなど、その活動の大部分を共に過ごしていきます。1948年には小国家が乱立していたドイツで3月革命に参加し、その後両名ともイギリスに亡命し、その地で活動を続けました。
2人は資本主義体制の没落は歴史の必然であるとする経済学説を展開し、労働者階級の政権獲得と国際的団結による社会主義社会の実現を説いて以後の社会主義運動に大きな影響を与えていきます。そして1948年、2人は冒頭の有名な一文「ヨーロッパに幽霊が出る――共産主義という幽霊である」から始まる「共産党宣言」を発表しました。その主張は
・経済が社会の土台であること
・すべての歴史は階級闘争の歴史であること
・プロレタリア革命は一階級の解放でなく人類全体の解放であること
等であり、この本は社会主義者たちの思想的なバイブルとなっていきます。しかし、その文中で「共産主義者は、これまでのすべての社会秩序の暴力的転覆によってのみ、自分の目的が達せられることを、公然と宣言する」と書いてしまったことが痛恨でした。これが社会主義者の原理的・急進的な一派の意欲を煽り、現実のレーニンによるロシア革命成功というお手本を得た忠実なマルキストたちを大いに勘違いさせ、現在の世界に無用な混乱と殺戮をもたらし続けていることは、人類にとっての無意味で大いなる損失と言わざるを得ません。もし2人が生きていたら「そんな意味で言ったわけじゃないのに」というのでしょうか。
ちなみに、間違えやすいですが、このエンゲルスさんは「1世帯ごとの家計の消費支出に占める飲食費の割合」の単位を開発したことはありません。ご注意ください。
*アイキャッチは今は亡きソ連の旗です
世界史 Word Check!
・マルクス主義:
マルクスとエンゲルスによって提唱された思想と理論、およびその後継者たちによる解釈と発展の諸系列を言う。
・共産党宣言:
1848年2月にマルクスとエンゲルスが発表した共産主義同盟の綱領宣言。これまでの歴史を階級闘争の歴史とみなし、社会主義国建設のために「万国の労働者よ、団結せよ」と呼びかけた。